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「Aider Rêveができるまで」-建築家が込めた思い-

 

建物には、意図があります。そこにいる人ができるだけ快適に過ごせるよう、誰かが知恵をしぼってできあがったのが、今あなたのいる建物です。いままさに設計中のシェア住居Aider Rêveも例外ではありません。この建物には、どんな思いが込められているのでしょうか。

 

帰りたいのは、「ほっこりする」場所

Aider Rêveの建築にあたり、建築家の土橋さんがもっとも気にかけているのが「帰ったときに人の気配がする」ということ。
土橋さんは言います。「たとえば、ごっつい立派なマンションで、大理石ぴたーっと貼ってある。オートロックで、入るときだーれもいーひん。誰かうしろから来てへんかなーって気にする。そうやなしに、家に近づくと、光がふわっと漏れていて、玄関をあけた瞬間に『ああ帰ってはるわ』そう思える家にしたい」
帰る人は、門をくぐると、小さなアプローチのじんわりとした光に出迎えられます。そのまま玄関の戸をあけると、明るい室内の先に見えるのがリビングです。ほかのシェア住居・ワンルームマンションでは、玄関の正面に階段・エレベーターが置かれ、そのまま個室へ向かってしまう場合も多いなかで、あえてこの間取りにしています。それは、帰ったらまず、誰かに「おかえり」と迎えられるように、という配慮からです。
この配慮は、「家はほっこりできる場所であってほしい」という願いでもあります。
「京都で言う『ほっこりする』、これは、疲れて休んで寝るだけちごて、そこに何かしらの灯りやしつらえがあって、そこに座るだけで、身体が休まるだけやなく、気持ちも安らぐ、そういう意味」
帰る人は、家からもれ出るやわらかな光で人の気配を感じ、なかに入れば、リラックスのできる空間と人とのふれあいで心をあたためる。そんな毎日を送れるよう、Aider Rêveは文字どおりすみずみまで設計されています。

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新しいのに、京都らしい

Aider Rêveのキーワードは「ほっこり」だけではありません。もうひとつは、「新しい京都」。なんとも平凡に見えるこの言葉、じつはかなりの曲者なのです。
みなさんは、「京都らしい建物」と言われて何をイメージしますか? 何百年も静かに建っている神社やお寺、土間のある細長い町家、使い込まれて艶めく木の肌をもつ古民家……。どうでしょう、古いものを思い浮かべませんでしたか? 多くの人は、歴史や伝統があるものを京都らしいと感じます。
Aider Rêveの設計の難しさはここにもありました。オーナーから出された要望は、「新しい京都」にふさわしい家。
生粋の京都人・土橋さんは悩みました。「古い町家なら、綺麗にするだけで十分や。でも、さらの(※)材料で京都の建築を作るのは知恵がいる。」(※さらの:「新品の」の意味)
鉄骨の新築でありながら京都らしさを出すために、「かたち」と「いろ」に注目しました。
まずは、かたち。「京風の『かたち』いうたら格子。格子が基本」ということで、1階壁面をアルミの格子で覆うことに。人を拒絶するように見えるけれど、正面からみれば奥まで見渡せてしまうという格子の二面性が、一見とっつきにくそうだけれども、なかに入ればあたたかい京都らしさを表現しています。
さらに、その格子に推定樹齢150年のけやきの1枚板を、表札代わりの看板として掲げることを決定。自然の雰囲気を強く残すよう、あえて節のある木を選びました。古くから日本家屋に欠かせなかった木という素材をアルミの格子に合わせることで、新しさと伝統を融合させています。
いろに関しては、瓦と土を基本にすることにしました。
「もともと京都の町並みは、上から見ると瓦ばっかし。瓦の色いうたら、銀鼠(ぎんねず)やね。あと、聚楽色(じゅらくしょく)。聚楽第でとれた土をそのまま塗った色、土壁の色ね、これにこだわりましたね」
(注:「聚楽第」とは、Aider Rêveがある場所の名前)
外壁は、銀鼠と聚楽色が基調。さらに、1枚1枚に細かなスジが入ったタイルを市松模様のように並べることで、光のあたり具合で色が変化して見えるよう工夫を凝らしました。
これには、「京都人が見ても、京都らしい色」と土橋さんは太鼓判をおします。
現代的な素材を用いながらも、京の伝統をふまえて創りあげられたこの家は、
絶妙なバランスで「新築」と「京都らしさ」を両立させています。まさに「新しい京都」です。
ここAider Reveは、「新しい京都に住む」だけではなく、「京都に京都らしく住む」、そんな暮らしができる場所です。

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